AIダバス、発明者とは認められず

裁判所は、『「発明をした者」は、特許を受ける権利の帰属主体にはなり得ないAIではなく、自然人をいうものと解するのが相当である。』と判断し、AIダバスは、発明者とは認められませんでした。

また、裁判所は、『AI発明に係る制度設計は、AIがもたらす社会経済構造等の変化を踏まえ、国民的議論による民主主義的なプロセスに委ねることとし、その他のAI関連制度との調和にも照らし、体系的かつ合理的な仕組みの在り方を立法論として幅広く検討して決めることが、相応しい解決の在り方とみるのが相当である。』という見解を示しており、AI発明について今後議論して欲しいという要望を出しています。

さらに、裁判所は、『グローバルな観点からみても、発明概念に係る各国の法制度及び具体的規定の相違はあるものの、各国の特許法にいう「発明者」に直ちにAIが含まれると解するに慎重な国が多いことは、当審提出に係る証拠及び弁論の全趣旨によれば、明らかである。』という見解を示しており、各国の判断内容に沿った判断をしました。

なお、日本だけでなく、アメリカ、イギリス、欧州(EPO)、中国、韓国、オーストラリア(オーストラリア特許庁の上訴で逆転)でも同様に、AIは発明者にはなれないという判断がなされています。一方、南アフリカ共和国では、AI発明による特許が成立しました。ただし、南アフリカ共和国は、無審査登録制度を採用しており、実体的な審査は行われていないようです。


令和5(行ウ)5001出願却下処分取消請求事件